24 4月

『道』204号 巻頭対談 内永豊「故郷が人を育てる 時代を生き抜く発想の力」

道204号 内永豊今号の巻頭対談にご登場いただいたのは、スカイラインGT-Rチューニングスペシャリストとして活躍する内永豊氏です。
スカイラインGT-Rといえば、車好きの方であれば、誰もが一度は手にしたいと願う名車中の名車。
ケン&メリーの歌声のコマーシャルで記憶している人も多いかもしれません。

宮崎県小林の出身で、宇城憲治氏の小学校、中学校の同級生でもある内永氏は、
高校の時は、不良仲間の番長を務めていたそうですが、ある騒動の責任を取って高校を一年で中退し単身横浜に出てきて17歳で兄たちが経営する星モータースに就職。

「高校に行かなくなったから、その分頑張らないといけない」とその後は一生懸命に自動車整備の勉強をしたのだと言います。

そして2年後には、当時最もレベルの高かった二級自動車整備士の国家資格を習得。
その後、車好きな人の独特の世界のなかで、常に「その人が満足できるように」と最高を目指し、車を徹底的に追求。
現在は、スカイラインGT-Rという最強の名車のチューニングスペシャリストとして活躍されています。

コーナーを疾走するGT500

内永さんは言います。

「GT-Rというのは、最強で最速というのがひとつの姿。
 しかし、『最強』というのは、速いだけではなくて、
 ふつうにゆっくり走っても、飛ばしても、
 すべての面で最高、最強でないといけないのです」

最強だからこそ、強さだけではなく、中身を伴わなければならない。
そのために、エンジン本来のもつ性能を十分に発揮させ「最高」を引き出す。

学歴・肩書に関係なく、ただひたすらに自分のなかにある情熱と努力で「最高のものを提供する」ため、磨かれていった技術力、発想力。

内永さんの生き方は、今の厳しい時代を生き抜くヒントであり、また一つの模範となっていると思います。

戦後間もない時代に生まれた両者のお話からは、
貧しい時代であったけれども、勢いがあり、希望に満ち、何よりも心が豊かな時代が浮き彫りとなりました。

故郷、良き出会いがいかに人の活躍の土台となるか、教えられる対談でもありました。

 

[季刊『道』204号]

 

内永豊氏(左)と宇城憲治氏(右)