17 2月

天体写真家・高校教諭 佐々木隆氏 と 宇城憲治氏が対談

 2012年2月初旬、大阪・汎愛高校教諭で、天体写真の専門家でもある佐々木隆氏とUK実践塾宇城憲治氏との対談が行なわれました。

 佐々木氏は、高校教諭として、またソフトテニス部の監督として子どもたちと日々接するかたわら、年間100日以上を天体・銀河の写真撮影にかけ情熱をそそがれています。



佐々木氏撮影の知床の流氷      
「月も、太陽と一緒で沈む時に赤くなるんです。」

 52歳の時、オーストラリアで眩しいほどの天の川と出合い、「生かされている自分」に気づかされ、喜びに包まれたと言います。宇宙と命をテーマにした佐々木氏の写真は、言葉を介さずとも私たちに「生かされている命」の尊さをまっすぐに伝えています。

「大事なことは命に対する謙虚さなんですよね。
 それをもたないと人間は本当の喜びを味わえないんじゃないかと思います。
 
 心を開いて人と共に生きるということがものすごく喜びのエネルギーと
 なるのではないかなと気づいたんです」
 (佐々木氏)

対談では、今の世の中のさまざまな問題の原因は知識偏重にあり、それを増長させている、受験に重きを置く教育システムや勝敗にこだわるスポーツ、目先に走るメディアのあり方すべては、この「生かされている」ことを忘れた人間の横着にあること、まずは教師、親、大人がこのことに気づき、謙虚さをとりもどすことがいかに大切かが語られました。

「100万分の1秒という時間を持つ60兆個の細胞が、
 この星を見て何も感じないということは細胞が死んでいるも同然なんです。
 もちろん実際は死んでいない、つまんだら痛い。
 では、なぜ感動できないのか、何が邪魔をしているのか。
 そのことに気づき、気づかせることが今もっとも急がれることなのです。」
 (宇城氏)

 未来ある子どもが現状の知識偏重の世界のなかでこのまま育っていくのか、あるいは今、親が、教師がその愚かさに気づいて、自分たちこそ変わり行動していくのか――。

 その「今」に気づき、「今」を変える行動ができるのか。
 対談は、その待ったなしの選択を大人たち一人ひとりに問うものであり、同時に自分が勇気をもって踏みだせば、そこに必ずエネルギーが生まれる、その希望があるのだということも教えてくれるものでした。

 この対談が現状打破にとりくむ多くの教師、親、大人の行動の勇気につながることは間違いありません。
対談は4月発売の『道』172号に掲載いたします。



16 2月

季刊『道』(どう)がアメリカ議会図書館に

 アメリカ・ワシントンDCにある世界最大規模のアメリカ議会図書館に、季刊『道』(どう)が蔵書の一つに加えられることになりました。
世界中のありとあらゆる書籍を保管するこの議会図書館は、選考基準が非常に厳しく、その上本来は研究書が中心であるので、雑誌類はさらに難しいとのことでしたが、見事選考に通りました。許可が出て実際に『道』を納めてからもさらに2箇所の検査を経たそうですが、それも無事に通って、今月より、晴れて議会図書館の本棚に並べていただけることになりました。

 アメリカに住む『道』の愛読者が、ぜひ日本の心を伝えたいと、その情熱で図書館とかけあってくださったことで今回の光栄な選考につながりました。
 アジア部門担当者の方も、非常に素晴らしい雑誌であると感想をくださったそうです。

  

 
 海を越えて『道』の心を伝えてくださる仲間がいることに心より感謝するとともに、行動するたくさんの方々の心と情熱がつまった『道』は、やはりエネルギーがある!と確信しました。そのエネルギーは、読む人を、行動の人にかえます。「まずは自分で動くこと」そのことの真実を教えてくれます。
 一人でも多くの方に道の心を届けたい、そう願ってやみません。


 アメリカ議会図書館内部

10 2月

「自然に想定外はあり得ない」自然地理学者 平川一臣氏に取材

2012年2月3日、北海道大学に理学博士 平川一臣氏をたずねました。
平川氏は、昨年3月11日の大津波を境に、それまで北海道のみで行なっていた崖(高所)の堆積物による古津波調査を三陸で実施し、今回の津波が決して「想定外」のことではないことを示しました。また調査し得た過去6500年間の堆積物にみる巨大津波のサイクルから、今回の地震発生によって次の巨大地震・津波の危険が決して遠い未来のことではないことを訴えています。


  自然に「想定外」は絶対にあり得ないです。
   畏怖の念、自然を「畏れる」というね。
   この「畏れ」が日本人には本当になくなってしまった。
   だから「想定外」なんて言ってしまうのだと思います。
   もっと自然に対して、あるいは科学に対して畏れを持たないといけないです。 

平川氏は、震災以降行なってきた調査、そのデータ整理や解釈が恣意的かつ不十分であることは承知の上で、あらゆることを想定し警鐘を鳴らすことは研究者の責務だとお話しいただきました。

自然あふれる中で育ち、今も一日10㎞のジョギングを欠かさず、山や森を歩き回る、走り回るのが大好き、という平川氏。
堆積物調査も、スコップ1本で崖にとりつき行なっていきます。
ものを言わずとも、さまざまな形で“事件”の痕跡を雄弁に語っている自然の声を聞くには、日ごろから自然に触れ合ってこそと思いました。

インタビューは『道』172号(2012春)に掲載予定です。