【どう出版 メルマガ】 今、届けたい言葉 〈戦争体験者からのメッセージ〉 「鉄棒で崩しながら朝までかかってお骨にしました」
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└◆ どう出版メルマガ （2025年12月10日）
『命の伝言』紹介動画
◆◇ 今、届けたい言葉 — 電子『命の伝言』より —
◇ 木村孝 中国帰国者定着促進友の会 元事務局長
中国に残された日本人は食べていくために農作業をしたり、
大工の下働きをしたり、
女性でも工場などに働きに出ました。
生きるために、中国人を使っていた身が、
中国人に使われる身となって働きました。
そんななか「人民裁判」が行なわれました。
中国人と日本人が集められ、
日本人居留民から４人、居留民会会長、副会長、
そして小学校の校長などが縛られて連れてこられたのです。
筋書きははじめから決まっていたのでしょう。
４人のうち２人は直前で刑をまぬがれましたが、
２人が銃殺された。
そして「裁判はこれで終わり。
死体は日本人で片付けろ」と。
なぜこうなったかというと、日本人の中に２人、
虎の威を借る輩がいたのです。
中共軍側に取り入ろうと
告げ口をした結果なのです。
皆は何かあると彼らに因縁をつけられる、
「気をつけろ」と……。
日本人社会は真っ暗になってしまいました。
そこへ、日僑管理班
（八路軍の対日本人政治工作活動をする日本人）がきた。
日本語がわかるから、日本人はその
「虎の威を借る」彼らのことを訴えた。
日僑管理班の人も「わかった」となって、
ついにはその元凶２人を拘束したのです。
結局、今度は日本人だけの
「人民裁判」となってしまい、
「彼らの故無き誹謗中傷のために２人も殺された」
ことを罪状に２人は死刑となった。
さんざん苦しめられたこともあるし、
みな興奮していたこともあったと思います。
日僑管理班の人は山すそにある日本人墓地に２人を並べ、
ピストルで撃ってしまった。
人が目の前で殺されました。
これはどこにも出ていない話です。
その頃は何事も班で行動したのですが、
その２人と同じ班の人が遺体の始末を命じられました。
そのうちの１人が私の班でした。
私が若かったことと、以前に赤痢で亡くなった同級生を
火葬にした経験があるので、私に白羽の矢が立った。
その人は私の小学校の同級生の父親でもあり、
その同級生は戦死してしまっていました。
そんな縁もあり、一生懸命焼きました。
人間を焼いてお骨にするというのは大変です。
今の火葬場ならあっという間ですが、
腹部のあたりはなかなか燃えないのです。
鉄棒で崩しながら
朝までかかってお骨にしました。
しかし、亡くなった人を荼毘に付したのはそこまででした。
小さな子供や弱い人がばたばたと亡くなるようになると、
手をかけて燃くわけにもいかなくなり、
そのまま埋めるようになりました。
——— 木村孝 中国帰国者定着促進友の会 元事務局長
「終戦から始まった戦禍 — ８月９日ソ連侵攻〜引き揚げまで —」
＊ ＊
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