【どう出版 メルマガ】 今、届けたい言葉 〈野村哲也 写真家〉 「こんな時は天からのメッセージ」
┌┐
└◆ どう出版メルマガ (2026年2月13日)
◆◇ 今、届けたい言葉 — 最新号『道』より—
◇ 野村哲也 写真家
訳せば山のヤギ、
和名は白岩山羊(シロイワヤギ)。
憧れの大元は、若い時からお世話になっている
動物写真家の原田純夫さんの存在だ。
原田さんは世界的写真家であり、
このマウンテンゴートでナショナルジオグラフィックの
栄えあるグラビアを勝ち取った。
「僕の一番好きな動物なんだ」
そんな風に言われる原田さんの姿が、記憶へ深く刻まれた。
アラスカでいつか逢えるだろうと思っていたけれど、
急峻な崖に住む彼らとはなかなかご縁が無かった。
「原田さん、今度ロッキー山脈へ出かけるのですが、
僕、マウンテンゴートに逢いたいんです」と連絡すると、
「ジャスパー近くのあそこ」と、詳しい情報を送ってくれた。
バンフを過ぎ、コロンビア大氷原を抜け、
いよいよ目的の地へ。
時計を見ると14時をまわったところだったから、
半分は諦めていた。
野生動物が活発になる時間、それは朝と夕と
相場が決まっている。
こんな昼には、マウンテンゴートたちは
どこかで休んでいるに違いない。
車を止め、森へ入り岩場へ向かう。
眼下にはエメラルドグリーンの川が流れ、
ロッキーの山並みが屏風のように並んだ。
こんな場所で、マウンテンゴートは生きているのか。
森を見つめていると、迷彩服を着たおじさんが、
双眼鏡を肩に担いでいた。
こんな時は天からのメッセージ、
おじさんの後を追いかけると、三脚を立てて望遠鏡で覗き始めた。
「もしかして、マウンテンゴートですか?」
「あぁ、木の陰で休んでいるよ」
指さす方を見ると、白いものがチラリと見える。
あれが……。
・
・
・
・
* *
<連載>
地球を歩く
「30年ぶりのロッキー山脈へ」
季刊『道』227号

