季刊『道』 207号より


<連載>
ありのままの私たち

山元加津子 作家

人と違っていても、障がいがあっても、人はみな素晴らしい力を持っている。
植物も動物も人間も、みんなでひとつの命を一緒に生きている――。

長く特別支援学校で子供たちと接してきた山元加津子さんが伝える、生きる上で大切なメッセージがつまった連載です。

今回は山元さんが養護学校に勤めておられた時の、「ようちゃん」という生徒さんと、交流している高校生との心温まるエピソードが紹介されています。

加津子さんのやさしさあふれるお話はいつも心をぽっとあたたかくしてくださいます。

うれし涙は、天使がかける優しい魔法

モナの森の冬の準備が始まりました。
薪を用意したり、窓には雪で窓が割れないように雪囲いをします。
それから、クリスマスツリーを出しました。

今この文章を読んでくださる頃には、お正月の飾りに変わり、
それも片付けてしまっていることでしょう。

ツリーを飾っていると思い出すことがあります。

養護学校に勤めていた時のこと、学校でクリスマス会がありました。
午前中はホットケーキを焼いたり、歌を歌ったり、
それからお昼から来てくれる
近くの高校生の友達に渡すクリスマスカードを作ったりしました。

その友達は生徒会の6人で、
その日、初めて子供たち会うことになっていました。

私と一緒にいた洋ちゃんは少し震える字で、
一所懸命ていねいに、
「メリー・クリスマス ようじ」と書いていました。

【207号】 2021冬
http://www.dou-shuppan.com/dou207-lp/


山元加津子(やまもと かつこ)
石川県金沢市生まれ。長年、特別支援学校の教員を務める。
植物状態と思われる人も回復する方法があり、思いを伝える方法があることを広める「白雪姫プロジェクト」を推進中。