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薬物依存者とその家族 回復への実践録


薬物依存者とその家族 回復への実践録
― 生まれ変わり、人生を取り戻す ―

著者   岩井喜代仁
定価   本体1,800円+税
ISBN   978-4-904464-82-3
判型/分  A5判並製 244頁

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薬物依存回復の鍵は、家族や仲間と共に歩む実践の中にある――

薬物依存回復施設・茨城ダルクを運営し、延べ4000人の薬物依存者と関わってきた著者が、「薬物を使わない生き方=回復」に向かう方法を詳しく解説。
薬物依存とは何か、本人と家族がその苦しみから脱するにはどうしたらいいかを、実際の薬物依存回復者とその家族の手記を交えて示していきます。

また本書は、「回復のレール」に乗るまでを具体的に追う実践録であり、その「自分の弱さ」や「欠点」に向き合うプロセスは、薬物依存回復に限らず、人間成長に極めて有効なものです。

薬物問題に苦しんでいる人はもちろん、自分自身の今を改め、変化を願うすべての人に届けたい一冊です。

[Facebookより]

著者のメッセージ

 本書は、薬物依存者の家族が、本人にどんなふうに関わっていけばいいかを示した本です。

 薬物依存症がどのような病気であるかを、実際の薬物依存者とその家族の回復の実践を交互に見てもらうことで理解してもらい、回復のために家族にできることは何かを知って、役立ててもらえればと願っています。

 なぜなら、薬物依存回復には、家族の理解と協力が不可欠だからです。

 薬物依存症は治りませんが、薬物を使わずに生きられるように「回復」することはできます。それが言えるのは、私もまた薬物依存症からの回復者だからです。

(「はじめに」より)

推薦の言葉

何故これだけ怖い薬物に手を出したのか。その事が、まっ先に浮かんだ。

自らも薬物依存に苦しみながら、依存症に真っ正面から向き合い、必死に闘っている岩井氏の信念と活動から見えてくるもの。

人間とは何か、生きるとは何か ――

すべての人の必読書である。

―― 武術家・UK実践塾代表 宇城憲治

目 次

本書によせて  日本ダルク代表 近藤恒夫

はじめに

第1章 「薬物依存症」という病気

1.薬物依存症とは
薬物依存症とは一生治らない病気である
薬物の怖さ① 根性や意志の強さではやめられない
薬物の怖さ② 大事なものをすべて失う
薬物の怖さ③ 人間でありながら人間でなくなる

2.薬物依存者を回復に向かわせるために
回復の手掛かり 薬物以外の爽快感
回復は「真似」から始まる
一つ手放して仲間から新しいものを「もらう」
それぞれにそれぞれの回復がある
整わない、日本社会での回復サポート
病みつきになった、回復のレールに乗った〝知らせ〟
「治らない」でも回復のために一緒に歩きませんか
「回復できる」と信じられるから一生懸命になれる

3.薬物乱用から子供たちを守るには
薬物問題は子育てと同じ
まず親が変わる――子供に本当に必要な教育とは何か
先生、親、子供が一体となって
学校――もっと外に門戸を開いて
薬物依存者の家族が陥る「共依存」という病気

第2章 薬物依存回復のための12のステップ

〈ステップ1〉
私たちはアディクション(薬物依存)に対して無力であり、
生きていくことがどうにもならなくなったことを認めた。
〈回復者の手記〉あの頃の惨めな自分に二度と戻らないための〝今日一日〟
〈ステップ2〉
私たちは、自分より偉大な力が、私たちを正気に戻してくれると信じるようになった
〈回復者の手記〉仲間と共にいれば薬物が止まると信じることができた
〈ステップ3〉
私たちは、私たちの意志といのちを、自分で理解している神の配慮に
ゆだねる決心をした
〈回復者の手記〉 信じて任せることができて、初めて前に進むことができた
〈ステップ4〉
私たちは、探し求め、恐れることなく、モラルの棚卸表を作った
〈回復者の手記〉 薬物を止めるためには人としての成長が必要だった
〈ステップ5〉
私たちは、神に対し、自分自身に対し、もう一人の人間に対し、
自分の誤りの正確な本質を認めた
〈回復者の手記〉自分の誤りを仲間に正直に話せた時、安心感を覚えた
〈ステップ6〉
私たちは、これらの性格上の欠点をすべて取り除くことを、
神にゆだねる心の準備が完全にできた
〈回復者の手記〉私自身の問題が見えてきて、変えていけるという気持ちになった
〈ステップ7〉
私たちは、自分の短所を取り除いてください、と謙虚に神に求めた
〈回復者の手記〉書き卸したノートが自分の生き方の歪みに気づかせてくれた
〈ステップ8〉
私たちは、私たちが傷つけたすべての人のリストを作り、
そのすべての人たちに埋め合わせをする気持ちになった
〈回復者の手記〉どうしようもない私が自由で喜びに満ちた人間に成長することができた
〈ステップ9〉
私たちは、その人たち、または他の人々を傷つけない限り、
機会あるたびに直接埋め合わせをした
〈回復者の手記〉覚醒剤で現実から逃げ続けた日々を見つめ直す
〈ステップ10〉
私たちは、自分の生き方の棚卸しを実行し続け、誤った時は直ちに認めた
〈回復者の手記〉「そうだ、自分の信頼できる仲間に話そう」と行動できた
〈ステップ11〉
私たちは、自分で理解している神との意識的触れ合いを深めるために、
私たちに向けられた神の意志を知り、それだけを行なっていく力を
祈りと黙想によって求めた
〈回復者の手記〉自分の問題に向き合う中で建設的な行動がとれるようになった
〈ステップ12〉
これらのステップを経た結果、スピリチュアル(霊的)に目覚め、この話を
他の人に伝え、また自分のあらゆることに、この原理を実践するように努力した
〈回復者の手記〉愛・成長・平和・感謝――自分の感情を表現できるようになりました

第3章 家族会の取り組み
――薬物依存者とその家族が共に回復に向かうために――

1.家族会ができるまで
回復への道を邪魔するのが親なのです
スペインの回復プログラムとの出合い
茨城ダルクの悩みに合致したスペインの「回復へのサポート」
スペイン方式 「子供をどん底に落とす方法」
回復するのだと〝信じる〟ということ
ようやく家族が言った「岩井さんの言った通りでした」

2.家族会で学ぶこと
家族会で取り組む「親離れ子離れ」
子供を手放させるために
家族の成長と「家族再構築」
仲間をつくり、仲間に学ぶ
共依存に戻らないために
家族会の回復プログラム 5つのステップ
家族会は人間成長のやり直しの場
〈家族の手記①〉薬物依存症の息子と共に 共依存からの回復
〈家族の手記②〉「親離れ子離れ」そして自分の回復と成長のために
〈家族の手記③〉家族会に通うことで自分の人生を楽に生きられる

3.家族会講演録――薬物依存者の家族へのメッセージ――
〈講演録①〉なぜ家族会に通わなくてはならないのか
〈講演録②〉家族が変わることで子供が変わり救われる
〈講演録③〉子供を回復に向かわせる親とは

第4章 薬物依存回復施設ダルクの取り組み
――  一人でも多くの人を回復へのレールに乗せるために――

新制度を意味あるものにするために
薬物依存症は治らない
薬物依存症の治療を考慮した新制度 このままでは活かされない
ダルクを出ていけない決まりをつくってほしい
NA(自助グループ)に通い続けられる制度にしてほしい
出所者受け入れのための中間施設をつくりたい

あとがき

日本全国 マック・ダルク所在一覧
日本全国 家族会連絡先

(発売日  2017年6月28日発売)

著者プロフィール

岩井喜代仁

 ◎ 岩井喜代仁 (いわい きよひろ)

薬物依存回復施設 茨城ダルク「今日一日ハウス」代表
女性シェルター代表

1947年 京都府生まれ。
青年時代に暴力団の世界に身を置き、若手組長として期待されるが、掟で禁止されている覚醒剤に手を染め、暴力団組織から破門される。以後は覚醒剤の密売人として全国を渡り歩く。その中で自身が薬物依存症となり、23歳から17年間覚醒剤を使い、苦しみ抜いた末に45歳の時、ダルクと出合う。
以来、救う側へと生まれ変わり、薬物依存に苦しむ子供たちを預かり、共に生きて回復を目指す。施設長としての責務を果たすかたわら、小学校から高校、大学で講演を行ない、薬物の怖さを訴え続けている。
2010年 茨城県福祉部長賞受賞
2012年 茨城県知事賞受賞

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