季刊 『道』 No.157 2008年夏号 (\1,200) [購入する] [読者の声]
肚を据える
これを乗り越えていくのだという意志が
気力となり勇気となり胆力となるのです。
[会見] やり抜く意志が肚をつくる
日本初女性代議士 元外相夫人 園田天光光
肚なんていうものは、最初からできるものじゃないし、
つけようと思ってできるものでもない。
結局は一つひとつの積み重ねです。
戦後初の衆議院選挙で女性として初当選、その原動力となったのが、“生き残された者”の、やむにやまれぬ思いと復興へのエネルギーでした。生死の瀬戸際を潜り抜けた体験は、人々の願いを一心に背負って先頭に立つという行動へ天光光先生を駆り立てます。そしてその勇気、気力の人生は、恩師中村天風先生との出会いにより、さらなる積極人生に変わります。胆力で生き抜いてこられた半生を語っていただきました。
そのだ てんこうこう
大正8(1919)年 東京生まれ。昭和21年4月、餓死防衛同盟から戦後初の総選挙に出馬し初当選。その後、日本社会党、労農党から出馬し連続3回当選する。日本ラテンアメリカ婦人協会会長など多くの公職を務める。現在、同協会名誉会長、竹光会会長、NPO育桜会名誉会長、「世界平和大使人形の館」をつくる会代表。1989年勲三等宝冠章受賞。
[会見] 潜在能力を開発し、よりよく生きる
上智大学名誉教授 アルフォンス・ デーケン 聞き手 UK実践塾代表 宇城憲治
人間は死に直面すると、
「問題」の次元では解決できない。
もっと深い側面があるのです。(アルフォンス・ デーケン)
人間の潜在能力を引き出す実践は、
まさに神秘の問いかけだと思います。(宇城憲治)
上智大学名誉教授であり、神父でもあるデーケン氏は「死」を見つめて「生」を考える「死生学」を日本に根付かせた方です。現在も「生と死の教育」の重要性を訴え、活動しておられます。
本会見には、聞き手の宇城憲治師範とデーケン氏の対談を是非にと仲介してくださった料理家の辰巳芳子先生も同席されました。「より良く生きる」ことを考え、提唱されている方々のすばらしい会合となりました。
アルフォンス・デーケン Alfons Deeken
1932年8月3日ドイツ生まれ。1959年来日。1973年フォーダム大学大学院(ニューヨーク)で哲学博士の学位(PhD)を取得。以後30年にわたり、上智大学で「死の哲学」などの講義を担当。現在、上智大学名誉教授。「東京・生と死を考える会」名誉会長。「生と死を考える会全国協議会」名誉会長。
[対談] 「やって見せる」本来の教育へ
衆議院議員 石原伸晃
VS UK実践塾代表 宇城憲治 司会 伊藤忠商事理事 木暮浩明
去る4月、衆議院議員 元国土交通大臣・石原伸晃氏とUK実践塾代表・宇城憲治師範との会食会が、港区赤坂にて行なわれました。
本対談は、宇城師範の実践教育指導理念をぜひ日本の中枢にと、木暮浩明先生のご尽力で実現しました。木暮先生は本誌の連載執筆者であり、日本合気道協会顧問、伊藤忠商事理事です。
少林寺拳法三段で現・慶応大学体育会少林寺拳法部総監督である石原氏とは武道の話題でもおおいに話がはずみ、また教育問題では、現状の教育現場の乱れを立て直すには、子供よりまず親であるとの見方の一致から、「気づく、気づかせる指導」の重要性についてお話が展開されました。
いしはら のぶてる
昭和32年4月19日生まれ。 慶應義塾大学卒業後、日本テレビ政治部記者を経て、衆議院議員に六期連続当選(東京八区)。現在、自民党東京都連会長、党税制調査会副会長、衆・国家基本政策・決算行政監視委員会。 現慶應大学体育会少林寺拳法部総監督。少林寺拳法三段。
[会見] 弱い自分に勝て――剣道で子供たちに伝えたいこと
(財)勝田若葉会名誉館長 剣道範士八段 尾坐原實雄
稽古をしっかりやらんと。
稽古をろくすっぽせずに肚ができるはずがない。
小学校4年ではじめた剣道は、今年で修行歴70年を迎える。 試合と稽古の指導を通じて長年、3千人あまりの子供たちと接してきた勝田若葉会 尾坐原實雄名誉館長は、指導した子供たちが人間としてまともに成長していくことがいちばんの願いであるという。 子供たちへの思いと、今、館長が伝えたいことについて、語っていただいた。
おざはら じつお
昭和元(1926)年生まれ、鹿児島県出身。剣道範士八段。昭和42年、若葉会道場に入門。初代館長のあとを継ぎ二代館長就任、(財)全日本剣道道場連盟副会長、茨城県剣道連盟相談役、茨城県剣道道場連盟名誉会長、茨城県ひたちなか地区剣道連盟名誉会長。(財)勝田若葉会名誉館長。
[講演会] 岩井喜代仁・宇城憲治 特別講演会「人間と生き様」
去る5月25日、岩井喜代仁・宇城憲治両氏による特別講演会「人間と生き様」が野口英世記念会館(東京 新宿)で開催されました。
本講演は本誌154号での両氏の対談をきっかけに行なわれたもので、限られた誌面では伝えきれない内容と両氏の迫力を、じかに感じることのできる貴重な機会となりました。
300名を超える来場者に「真剣に生きる」意味を訴えた両氏の講演。
その内容の一部と、来場者の感想をお届けします。
【連 載】
■生き抜くための稽古
料理家 辰巳芳子
「君たちにお願いしたいこと」神奈川県伊勢原市立山王中学校講演
悠々とした大山を背にした伊勢原市立山王中学校。現3年生は、自分たちで課題を決め、取り組み学んでいく「総合的な学習の時間」に「大豆100粒運動」を選びました。1年生の時から大豆を育て収穫し、大豆加工食品を作るなど、年間を通して食のことについて学んでいます。大豆100粒運動への中学生の参加、また同じ子供たちが3年間続けて行なうケースはめずらしく、本年3度目の大豆栽培を始めるにあたり、辰巳芳子会長の講演が行なわれました。
■気づく、気づかせる
UK実践塾代表 宇城憲治
「人間の活力源・気」
多くの人にやる気、勇気、自信を引き出しているのが宇城師範の指導。文武両道の次元から生まれた日本人の活力源・気の理論。後半は、ニューヨークにて開催された師範による初のセミナーの模様と受講生の感想。
■剣と生きる
剣道範士八段 井上義彦
「武道と競技 遅れをとる日本武道」
■薬物依存症――子供たちと共に生きる
茨城ダルク代表 岩井喜代仁
「薬を使ったら何がいちばん怖いか。大事なものを全部失うことだ」
■失われた日本人の美徳
合気道九段・満州建国大学経済学部卒 奥村繁信
「日本人の特性を活かす」
■あくなき向上心に学ぶ
なぎなた範士 澤田花江
「言うからには 肚据えてものを言う」
■伝承のともしび
合氣道スクールズオブ植芝主宰 アメリカフロリダ在住 五月女貢
「なぜ人は武道を修業するのか 修業上における姿勢と心理的考察について」
・木暮浩明 「うつくし、日本」 勇気と覚悟
・佐々木望鳳馨 「先哲の教え」 縁が生む大成
・井上強一「基本を守る」 はじめに極意あり
・佐々木の将人 「なるほど」 試合・死合・仕合
・野中日文 「思想としての剣」 剣礼同根
・ピーター・ゴールズベリ「日本文化を鏡に映せば…」 モラルは低下した?
・森 恕 「琢磨会と大東流」 琢磨会の技
・黒田鉄山 「伝書に守られて」 防人
商品情報: dou157, A4判 84頁