人間とは何か
反戦の心をオペラに込めて
作曲家 三枝成彰 VS UK実践塾代表 宇城憲治
戦争とは何か。そしてそこに現実としてつきつけられた特攻の生と死。
そこには、「人間とは何か」「生きるとは何か」という問いと答えのすべてが
詰まっているように思うのです。(宇城)
特攻の姿をテーマに書いたのは
原点に理不尽があるからです。
反戦ですよ。(三枝)
今、政治の虚構はもとより、身内による虐待や無差別殺人など、命への冒涜が止まらない。作曲家の三枝成彰氏は、そんな時代だからこそ、第二次世界大戦の中で、生きたくても自分ではどうにもならなかった特攻という歴史の事実、そしてそこに生きた実在の人物のドラマを通し、現代人にも通じる命の大切さ、戦争の理不尽さを伝えたいと語る。
ライフワークとしているオペラ作品の創作の原点や、今の日本に対する思いについて縦横に語っていただいた。
ロングインタビュー
自然食と温もりの関わりで子どもたちの未来を守る
戦わずに広げる草の根の取り組み
ゆめの森こども園 代表 前島由美
食を変えてミネラルを摂るだけで、
こんなに短期間で落ち着いたり、
集中できるようになることが分かった時に
「これをここだけで済ませてはいけない。
全国で苦しんでいる子どもたちを救うために
伝えなければ」と思ったんです。
突然あばれる、教室を飛び出す、暴言を吐く、といった症状のために「発達障がい」と診断されて薬を飲まなければ学校へ行けなくなったり、その薬の副作用で本来の生きる力をなくすなど、今、多くの子どもたちが行き場のない苦しみの中にいる。その実情は学校やメディアでは広く公表されておらず、その数は年々増加の一途をたどっている。
島根県出雲市にある「ゆめの森こども園」の代表・前島由美さんは、そんな子どもたちとその保護者を、「食と温もりの関わり」を柱にした療育支援を通して救う活動を展開している。
前島さんに、現在多くの子どもたちに起こっていること、現場での取り組み、今私たち大人が緊急に何をすべきなのかなどを語っていただいた。
家族の看取りは究極の宝
― ドキュメンタリー映画に込める思い ―
映画監督 長谷川ひろ子
上映の度に、いらした方の時間が動き始めるのを見てきました。
亡くなった方々がどうしてほしいのかを代弁してさしあげることで、
本人も答え合わせができて元気が出る。
それぞれの方が「看取りの書き換え」をしている。
それが私にとって原動力なのです。
薬学博士として末期ガンの人たちを生還させてきた夫が、余命半年の宣告を受け47歳で他界した。生前自宅で闘病生活をする夫にカメラを向けたのは、自らの生還を信じた夫のために記録映像を残すためであった。
4人の子供とともに夫を自宅で看取った長谷川さんは、「死」は決してタブー視するものではなく、「生の肯定」に導くための体験につながると実感し、そのことを伝えるために、命がけで残してくれた夫の記録映像を映画にしたいと、監督、脚本、取材、ナレーション、テーマ音楽の作詞、作曲、歌など、ほとんどを自ら手がけ、完成させた。長谷川さんの映画に込める思いを聞いた。
連 載
◆写真家・ネイチャーガイド 安藤誠 連載『日常の奇跡』
「自立」
ネイチャーガイドとして自然と向き合う安藤氏。
目に見えないものを見、声なき声を聞くプロフェッショナルとして、私たちが見過ごしている「日常の奇跡」を、一瞬を切り取った写真とともに届けます。
◆一般社団法人ハニーファーム代表 船橋康貴 連載『ミツバチが教えてくれること』
「みんなの心に火を灯す」
ミツバチ絶滅の危機は人類滅亡の危機
私たちが生きていくための環境維持に欠かせないミツバチの存在を伝え、守ろうと東奔西走する船橋氏。
その活動の「今」を伝える。
◆茨城ダルク代表 岩井喜代仁 連載『今日一日を生きる』
「協力者とともに立ち上げた施設 ―― 鳥取ダルク開設」
薬物依存者が社会復帰を目指すリハビリ施設として、薬物依存回復の確立した方法論を持つダルク。まだまだ課題はあるものの、行政との連携も進み、認知度も高くなった。それは、全国にダルクの数が増えたことも大きく影響しているだろう。
ダルクと出合って26年、自らも薬物依存回復の道を歩みながら、一人でも多くの仲間の回復を求めて各地にダルクを開設してきた岩井喜代仁氏に、各施設の開設と現在に至る道のりを聞くとともに、施設責任者の手記を紹介する。
◆写真家 野村哲也 連載『地球を歩く ~知られざる絶景を求めて~』
「人生の道」
世界に飛び出し旅するからこそ見える、日本のこと、自分自身のこと。
秘境と絶景を求めて 120ヵ国以上を旅してきた写真家 野村哲也氏の連載。
◆銀河浴写真家 佐々木隆 連載『私たちは銀河のなかに生きている』
「数え切れない島宇宙」
生かされていることに気づけば、人生はもっと豊かになる。
銀河を舞台に生命の息吹を写しとる、佐々木隆氏の銀河浴写真。
◆編集部コラム 『心の奥の取材ノート』
「『はだしのゲン』作者 中沢啓治先生のこと」
交わした言葉、ちょっとした仕草、振る舞い ――
今もありありと思い出す、取材で出会った人たちの思い出を綴ります。