2015年 奈良・学校実践講習会 京都・親子実践講演会

午前の部では、野球、サッカー、などのクラブ部員を中心とした生徒たちが集結、始終熱気につつまれた。
1対6の腕相撲を「やってみせる」塾長。上から2人の生徒が乗るようにして押さえていたが、 軽々と倒されてしまった。
手を触れずに腕相撲をする様子を上から見たところ。生徒たちの集中が塾長のいる中心にぐいぐい引き込まれている様子がわかる。
部分体の投球と統一体の投球の違いをみせる塾長
講習会終了。塾長の姿が体育館から見えなくなるまで拍手は続いた

< 潜在能力を引き出す 宇城塾長のセミナー > 

 宇城道塾での根幹の指導は、「私たち人間一人ひとりには、生まれながらにもっている潜在能力がある。その能力に気づくことができれば、誰もが今よりももっと幸せで充実した人生を歩むことができる、そのことを一人でも多くの人に気づいてもらいたい」というものです。

  「潜在能力」とは、渡り鳥が生まれながらに4000キロを飛ぶ能力をもって生まれてきているように、イルカがしなやかに海を泳ぐように、人間には、人間の、もともと備わっている素晴らしい能力があり、その力の存在に気づき、発揮させることができれば、それぞれの人生で必ず生かすことができる。同時にその能力は、私たちを確実に進歩・成長させ、幸せに向かわせるものであることは間違いないのです。しかし、私たちのほとんどは、そんな「能力」が自分たちにあることすら気づくことはありません。

 そんな私たちに、従来の 「教える → 学ぶ」から 「気づかせる → 気づく」の方法すなわち、
 (1) やってみせる → まねる
 (2) 引き出す
 (3) スイッチを入れる

 という実践を通して、そのことに気づかせてくれるのが、宇城憲治塾長が各地で指導されている宇城道塾であり、また1年を通じで様々な場で開催される塾長のセミナーやイベントです。

 今年も昨年に続き、1月17日(土)に、学校を対象にした実践講習会が奈良県立桜井高校にて、翌18日(日)には、一般、親子を対象にした講演会が京都コンベンションセンターにて開催されました。

(文: どう出版 編集部)
 
 
 
 


学校実践講習会 〔1月17日午前 第1部 学生対象〕 

 


 阪神淡路震災で亡くなった方を追悼する黙祷から始まった1月17日午前の講習会第1部には、中学、高校の生徒約600人、引率教師、保護者、一般約70名の、約670名が、講習に参加しました。

  講義が始まるや、まず誰からも習ったことがないという11歳の子のダンスの映像や、同じく独学で学んだという18歳の子が描いた、4歳からの作品集がスクリーンで紹介されました。

 塾長はこれらの放映のあとに、
  「誰からも習っていないということは、誰にでも可能性があるということです。しかし、言われたことしかせず、自分で動かない人には、その可能性はありません。大事なことは、自分で考え、自らの力で動くこと。そのようにして初めて人間としての能力を発揮できるということです。
  今日は、皆さん一人ひとりにその可能性があることを、実践を通して気づいてもらいたいと思っています」と述べ、2時間にわたる実践講義がスタートしました。

 

 講義冒頭で塾長は、6434名の命を奪った20年前の阪神淡路震災について触れ、自ら動き創造力を取り戻す大切さの話の例として、震災を経験した消防士が、震災の時に水がなくて人を助けることができなかったその悔しさ、つらさ、怒りから、その後、水のいらない植物性の泡を使った消防車を開発したというエピソードを紹介し、ものをつくる力、すなわち「無から有」を生じさせる原動力には、こうした情熱があること、またその情熱は、身体から湧き出るものであり、それは自らのなかから決して消えることがなく、人生に生きてくると、諭していきました。

 同時に塾長は、誰にも可能性があっても、現実に「その人しかない花」を咲かすには、従来の教育では難しいということも、生徒たちにまっすぐに伝えていました。それは今の学校のあり方が、受験や就職のための予備校のような状況になってしまっているという現実があるからです。
 塾長は、動物がもともともつ能力を存分に発揮しているように、人間には人間の、考える力や勉強する力があること、その力を受験や就職といった狭い世界に閉じ込めてはならないことを述べて、生徒たちのなかに眠る力を、様々な実践検証で気づかせていきました。

 

 実技で圧巻だったのは、1対複数の塾長による腕相撲です。本来ならばあり得ないとする1対6名の腕相撲に、生徒たちは興味津々の様子で、たちまち塾長のまわりに幾重もの輪ができました。

  そして、目の前で軽々と複数の相手を倒してみせる塾長に、生徒たちから大きな歓声があがっていました。塾長が示す、常識ではあり得ない1対6の腕相撲に勝つその根源には、従来の筋力主体の力ではなく、それよりもはるかに強い調和する力があること。筋力主体の力は実は、本質的な強さではなく、非常にもろく、危険をはらむものであること。そうした事実を、具体的な検証で次々と「やってみせる」塾長に、600人の子供たちは、理屈抜きにぐいぐいと引き寄せられていきました。

 その様子はまさに圧巻で、上から見ると、塾長の近くにいる生徒たちはもちろんのこと、後ろのほうにいて、物理的に検証がまったく見えない位置にいる生徒たちも、塾長にベクトルがまっすぐ向けられていて、そのままぐいぐい引き込まれていくのがわかるのです。その様はまさに、その場に発せられているものが、まぎれもなく強い「エネルギー」であることを示すものであったと思います。

 講義が終わって塾長を体育館から送り出す際、生徒たちから塾長へ感謝の拍手が起こりました。その拍手は塾長が体育館から姿が見えなくなるまでずっと続いていました。その拍手から子供たちの理屈ぬきの感謝と感動が伝わってきて、思わず熱いものがこみ上げました。

 子供たちの可能性を引き出す、とは、知識でも肩書きでもない、その人の生き様なのだ、そのことを子供たちが、何より教えてくれたのでした。

 そして子供たちから引き出されたもの――。それは、人間本来の心ではないかと感じます。講習会後に届いた生徒さんたちの感想文がそれを如実にものがたっていました。この心こそ自分も人をも育てていく力になるのだと思いました。 

 

 受講した生徒、教員の感想はこちらでご覧ください。
 [学校実践講習会 参加者の感想]

嘘をつくと身体が弱くなる。正しい答えだと強くなる、の検証
従来の腕立てと、統一体体操との身体の強さの違いを体感
たった2本の指で1対4の腕相撲をやってみせる塾長
学校実践講習会 〔1月17日午後 第2部 教員・指導者対象〕 


 午後の第2部で行なわれた指導者、教員を対象にした講習会には、約90名の教職関係者が受講しました。

 ラテン語の教育という言葉の意味は、「引き出す=エドゥカーレ」だといいます。子供の内面にあるものを引き出し、開花させることが教育の本質であるのだと。宇城流の指導法は、まさに「引き出す」指導です。知識で教える従来の「教える、学ぶ」方法ではなく、まず自らやってみせ、真似をさせる。真似してできない。だから「できるようになりたい」と願うその気持ちが、本来の「学びたい」という意欲を引き出します。それが自ら気づいていく力となり、その気づきが、その子が生まれながらにもつ能力を開花させるものであること、そしてさらに、その能力にスイッチが入れば、それまで想像もできないような力を発揮できるというものです。

 そしてその指導の根底には、親と子、教師と生徒という関係以前に、「師と弟子」という、甘えや妥協を許さない学びの関係が自然体で築かれることが大切であると塾長は言います。

 セミナーで行なわれた検証は、従来当たり前として行なわれていた筋トレや体操などが、身体をかえって部分体にし、気の流れない弱い状態にしてしまうといったことなど、言葉ではなかなか伝えられない真実を、「身体に気の通った状態」と、「通ってない状態」とを比較するなかで示していくものでした。

  そのようにして、参加した指導者、教員の方々は、塾長の「やってみせる」から始まるその指導法を、“生徒”の立場で自ら体験していきました。そして自ら気づいたり、感動するなかで、それまでの「教える、学ぶ」にはない、「気づく、気づかせる」世界の桁違いな深さを経験していきます。

参加した指導者や教員たちの感想からは、
  「自分の器を大きくする大切さを学んだ」 
  「頭でわかるより身体でわかることが大事であることが体感できた」
  「自分があまりに浮いていることがわかった。地に足をつける大切さを学んだ」
  「自分の受け取り方で学べる深さがちがうことを学んだ」
などの感想とともに

  「自分がいる教育の現状が危機的な状況にあることがわかった」
  「子供たちにスイッチをいれる場に立ち会うことができ、感動した」

など、子供を見守る教師としての課題と責任を未来に向けて自覚していく機会となった様子が伺えました。

 生徒と教師に、このような学びの場を提供しているのが、宇城塾長に学ぶ塾生でもある、奈良県立桜井高校の森島伸晃教諭です。
  この日、まだ薄暗い早朝から集まり準備を始めてくれた桜井高校の生徒さん、教師の方々。準備段階でも、講習会が始まってからも、常に気を抜かず、てきぱきと丁寧に参加者への気遣いや補助をしていたその姿は、まさに、宇城塾長を師とする、森島先生の生き様をうつすものでありました。人間教育とは、まさに生き様であることを、森島先生に教えていただいたように思います。

女性でも気をとおせば、簡単に男性3人に対する腕相撲に勝つことが出来る

定員160名に200名近くが来場。大人も子供も、塾長の話を真剣に聞いていた
「挨拶で変わる」を実演
参加した子供たち全員が体験する
妊婦さんが触れることで、できるようになることも検証された
触れずに倒す塾長
塾長を真似て、触れずに倒す5歳の子供
中心をとらえ、大人を抑えこむ子供
親子実践講習会 〔1月18日〕  

 翌1月18日に京都烏丸コンベンションホールで行なわれた京都実践講演会『厳しい時代を生き抜く子供たちのために――私たち大人が気づかなければならないこと――』では、子供、学生、大人を合わせて200名近くの来場者がありました。

  参加者は、3、4歳の子供から、小学生、中学生、そのお母さん、お父さん、そして教師、指導者、学生と、年齢層も職業も実に様々でした。

  塾長は、冒頭の挨拶で「今日は子供がもつさまざまな力を見てもらいます。そして子供から大人が学んでもらいます」と述べ、子供が生まれながらにもっている力や、伝統文化のなかにある、人間の力を引き出す所作などを子供にも大人にもわかりやすく実践解説していきました。

 まず、塾長は、植物の木のエネルギーは土の養分からくるのと同じように、人間の力は地球からの重力であること、その重力を取り戻すと、どのような変化があるかを、目に見える形で来場者に次々に体感させていきました。

 その検証の一つが「挨拶で変わる」です。子供たちが元気に挨拶をし、きちんと礼をすると、身体がしっかりと地につながり、それまで押せなかった大人の列を次々に押すことができました。子供たちが目を輝かせながら元気に挨拶する姿に、瞬時に変化する子供たちの桁違いな学ぶ力を感じました。

  とくに印象的だったのは、この日も行なわれた1対複数の腕相撲の実践です。塾長はたったの2本の指で複数の相手を倒したり、相手とは離れて座り、触らずに腕相撲の複数の相手を倒してみせました。そしてそばにいた5歳の子に、同じことをするように指示をしたのです。 その子は、すぐさま塾長と同じ体勢を真似て、離れた状態で腕相撲を始めました。しばらくすると相手の大人たちは、塾長に倒された時と同じように崩されてしまいました。

「子供というのはこうやってスイッチが入る。入ったら何の才能が出てくるかわからない。絵に目覚めるかもしれないのです。」

 そこに浮き彫りになったのは、従来の指導法が、こうした子供の能力の存在すら気づくことなく、筋トレなどで潰しているという現実です。5歳の子が、まさに目の前でやってみせたという検証は、その場にいた誰にとっても、まさに嘘、偽りない真実でありました。

 その後も、こうした子供のもつ力だけでなく、妊娠されている方がもつパワーなどを示す検証が続きました。印象的だったのは、どの検証でも、大人が子供に負けないくらい食い入るように集中していた姿です。

  2日間で一貫して示されたものは、まさに、大人も子供も瞬時にひきつけてしまう宇城塾長の、気づき気づかせ、引き出し、スイッチを入れるという、世界どこにもない指導法です。そして何よりも、「人間は、何のために生まれてきたのか」ということの問いかけです。この問いかけを通じ、この2日間のイベントが、多くの人に本来の人間のあり方を取り戻すきっかけとなること、そして塾長につながった人が、さらに学び、変化し、成長するという循環になっていくことを願わずにいられません。

 最後に、この学校講習会を主催、運営された奈良県立桜井高校の森島先生と、京都講演会を企画・運営された、同じく塾生の河田繁治氏の感想を紹介いたします。

<森島伸晃先生>
 これは宇城先生が常々おっしゃっていることですが、先生が、学校実践会を開いたり、セミナーを開催したり、先生が気をかけて人にできなかったことをできるようにするということは、すべてそれ自体を目的にされているわけではなく、人間本来の力というのは、すごいんだということに気づいてもらい、それぞれの方が幸せになってもらいたいという思いがあるからなのです。この学校講習会にいらしていただいた皆さんにその思いを認識してもらえたらいいかなと思っています。 
 これは頭で感じることではなくて身体で感じることなのですが、では身体で感じることはどういうことかと言えば、それは、「自ら動き出した」時にわかってもらえると思うんです。先生のおっしゃる、「進歩成長とは変化することであり、変化するとは深さを知ること、深さを知るとは謙虚になること」この言葉にすべてが集約されていると思うのです。それを頭でなくて身体で気づいたことを何によって確認できるかは、それぞれのこれからの行動であり、それをまた次回皆さんがここに来られた時に確認してもらえるような場、戻ってくる場として、来年も開催させてもらえればと思っています。 
  調和融合という先生のやっておられることは、皆が喜び幸せになりますようにという、まさに「公の精神」です。先生はそうした数値であらわせないことを、自分の生き様や行動で示してこられたと思うのです。その生き様が先生の気であると私思っています。ですから、先生が示しておられる希望を身体で感じられるようになったら、自分にも周りにも気遣いというのをかけられるようになる。そうなれば、自分も周りも幸せになっていくと思うのです。
 そして、先生がおっしゃる「重力」というのは、まさに生き様、やってきたことだと思っています。それは、「心あり」の事理一致の行動です。それが重力であり、それが「気」であると思っています。ですから、「俺もできるようになりたい」ではなく、皆、心を込めて、自分の人生をやり切ったら
いい、やり続けたらいいと思っています。

 

<河田繁治氏>
 昨年は、お母さんとお子さんというように対象を絞った講演会でありましたが、今回は、教師、お母さん、お父さん、そして子供、大人と、あるいはこれからお母さん、お父さんになる高校生といった様々な年齢層にある人たちが、子供が本来もつ力を、一緒に見て体験できたこと、それが非常に良かったと思っています。子供の能力を目の当たりにして感動するお母さん、そのお母さんの様子を見て感動するお父さん、周りの人たち、そうやって講演会は、間接的にいろいろな人がいろいろに変化、感動する様子からも、たくさんのインパクトがあったのだと思います。
 冒頭、先生は「すべては自分である、変化するのも、変化を生かすのも他人ではなく、自分自身である」ことを述べておられましたが、そのことがすべての人の胸に響いていたように感じます。また、朝10時からたくさんの塾生が準備のために集まって、講演中も皆がそれぞれの役割を果たして全員でひとつになって運営ができたこと。それが本当にありがたかったです。年の初めにこのように結束できるイベントをやらせていただいたことは、まさに素晴らしい一年のスタートを切らせていただいたということだと思っています。

 2日間の塾長の指導に身近に接していて感じたことは、どこにいっても、誰と向き合っても、何を質問されても、まったく変わらない塾長の姿です。子供たちの多くは、その塾長の姿勢そのものから、感じたこと、学んだことを感想文に書きつづっています。子供たちが、知識ではなくその人の生き様から、多くのものを受け取っているという、ごまかしようのない事実があることをあらためて教えられました。

 もうひとつは、子供のもつ大人とは桁違いなスピードの速さ。感動したこと、気づいたこと、、それが即、「やる気」になり、その「やる気」が行動に直結している。それが感想文から理屈抜きに伝わってくるのです。大人のように、時間がない、お金がない、などの言い訳も理屈もありません。「やりたい」「やる」が先。そのようなスピードある学び、行動していく力を、わたし達は子供から決して奪ってはならないし、学ばなければならないとあらためて思いました。

 いつも学校講習会、京都講演会を終えると希望を感じます。
 人間本来の姿を子供たちに見るからです。
  それを見せてくださる、気づかせてくださる宇城塾長に、そしてこの2日間のイベントを企画運営し、支えてくださる皆様に、心から感謝いたします。ありがとうございました。  

どう出版 編集部 

受講した生徒、教員の感想はこちらでご覧ください。
 [学校実践講習会 参加者の感想]